輪郭整形・小顔整形 コラムColumn

2023/05/07
口ゴボ改善ならどっち?歯列矯正(ワイヤー)とセットバックの違い

「口ゴボを治したい」「受け口を改善したい」「口元の印象を良くしたい」という際に比較検討されやすいのが、「歯列矯正(ワイヤー矯正)」と「セットバック整形」です。どちらも口元の施術ではありますが、それぞれ施術対象となる部位が異なるため、ご自身の原因にあった施術法を選ばないと、せっかく治療をしても思っていた結果と異なるケースになる可能性もあります。
そこで今回は、口ゴボ、受け口、出っ歯、歯並びなど、口元の印象をよくする際に比較検討されることが多い歯列矯正(ワイヤー矯正)とセットバック整形についてその違いを解説したいと思います。

歯列矯正とセットバックの治療法について

「歯列矯正」は、歯を矯正する治療

歯列矯正とは、口ゴボや出っ歯、受け口の改善や、デコボコした歯並び(不正咬合といいます)を改善する際に行う歯の矯正です。歯列矯正には「ワイヤー矯正」と「マウスピース矯正」の2種類がありますが、ワイヤー矯正で治療を行う方が多いです。(インビザラインを含め、マウスピース矯正は今後もう少しメジャーになっていくとは思いますが、現段階ではやはりワイヤー矯正が主流です) 以前は歯を固定するワイヤー部分が銀色のものが中心でしたが、最近は目立ちにくい透明のワイヤーも増えてきています。

「セットバック整形」は、骨格を矯正する治療

セットバック整形も、口ゴボや出っ歯、受け口を改善するという点では歯列矯正と同じですが、口元が出ている原因が歯ではなく、上あごや下あごが原因の際に行う治療法です。前から4番目の歯を抜歯したあとに顎の骨を削り、あごの位置を後方に移動(=セットバック)することで口元を整えます。手術による治療のため、一度の施術でしっかりと効果を実感できます。
なおセットバック整形には上あごだけを後ろに下げる(=出っ歯を改善する)「上セットバック整形」と、下あごだけを後ろに下げる(=受け口を改善する)「下セットバック整形」、さらに上下のあごを後ろに下げる(=口ボゴを改善する)「上下セットバック整形」の3つがあります。(イラストは上下セットバックのイメージ図です)

口ゴボを改善するには、歯列矯正とセットバック整形のどちらがよいのか?

歯列矯正とセットバック整形は、どちらも口ゴボ(口元が前に出ている状態)を改善する際にお勧めの治療法ですが、「自分の場合はどちらがいいの?」と悩んでおられる方もいらっしゃるかもしれません。適応について大まかにお伝えすると、以下になります。

・歯並びが原因の口ゴボなら、歯列矯正
・骨格(あごの骨)が原因の口ゴボなら、セットバック整形

といっても、実際にご自身で歯並びが原因なのか骨が原因なのかを判断することは難しいと思いますので、口ゴボの症状が気になる場合は、まずは矯正歯科や口腔外科で歯やあごのレントゲン撮影やCT検査を行い、医師に判断してもらうことをお勧めします。

歯列矯正がお勧めの方

口ゴボの原因が不正咬合(歯並びが悪い状態)の場合は歯列矯正による治療がお勧めです。口ゴボの他にも上のイラストにあるような症状の際に適応となります。歯並びが整うことで、口元のもっさりした感じが改善されたり、横顔(Eライン)が美しいラインに整う効果も期待できます。

・八重歯、叢生(そうせい)、乱杭歯(らんこうし):歯が重なり合っていたり全体的にデコボコしている状態
・オープンバイト(開咬):口を閉じても前歯がかみ合わない状態
・交叉咬合:歯並びの途中で上下の歯の位置が交叉している状態。上の奥歯が下の奥歯の内側に入っているケースが多いです。
・過蓋咬合(かがいこうごう):下の歯が見えないくらいに上の歯が過剰に被さっている状態
・空隙歯列(くうげきしれつ):いわゆる「すきっ歯」。歯の間に隙間がある状態。
・正中の不一致:上下の歯の真ん中(正中線)がぴったり合致しない状態

セットバック整形がお勧めの方

セットバック整形がお勧めの方は以下のような方です。

・出っ歯(上顎前突):上の前歯が前方に出ている状態。ガミースマイルになることもあります。
・受け口(反対咬合):下の前歯が前方に出ている状態
・口ゴボ(上下顎突出):上下の前歯が前方に出ている状態

セットバック整形はあごの骨格に問題がある場合に行う口腔外科手術です。セットバック整形には3種類があり、それぞれ口元の状態に合わせた治療法で施術を行います。

歯列矯正・セットバックのメリット・デメリットの比較

歯科治療による歯列矯正と口腔外科治療によるセットバック整形は適応が異なりますが、ここではそれぞれの治療法の特徴についてもまとめます。

原因にあわせた矯正治療を選ぶことがポイント

今回は歯列矯正をセットバック整形の違いについて簡単に比較をしてまとめてみました。それぞれメリット・デメリットがありますが、大事なポイントはご自身の口ゴボの原因に合わせた治療法を行うことです。口元がもっさりしている原因をご自身で判断することは難しいと思いますので、気になる際には矯正歯科や口腔外科でまずはレントゲンやCT検査を行い、医師に原因を正しく診察してもらうことをまずはお勧めします。※なお現在、当院ではセットバック整形を行っておりません。

セットバック整形の詳細

・施術情報

施術時間:3〜4時間程度
ダウンタイム:腫れ・内出血:1か月ほど
リスク・副作用:術後に腫れ・内出血・痛み・痺れが生じることがあります。また、手術後1か月ほどは口腔内の感覚が鈍くなることがあり、一時的に舌が歯列に当たったり、滑舌が悪くなったりします。
合併症:ごくまれに感染から知覚異常、骨膜炎、組織壊死などの合併症が起こる可能性があります。 ※ダウンタイム・副作用・リスクについて詳しくはこちら
通院:翌日の検診、抜糸時(10~14日目)、術後の検診(1・3・6か月後)
持続性:半永久的

・施術後の過ごし方

洗顔:手術翌日から可能です。手術部位は濡れないようにしてください。
シャワー・入浴:手術翌日よりシャワーは可能です。湯船での入浴は1週間後からとなります。
メイク:手術翌日から可能です。ただし、手術部位は避けるようにしてください。
食事:手術後は半年程度かけて少しずつ組織が癒着し固くなっていきます。それまでは極端に硬い食べ物を食べないようにしてください。

専門的な診察が必要な際にはお気軽にご相談ください

マスクを取る機会が増えたこともあり、最近は診察でも口元についてご相談をいただくことが多くなっています。輪郭についてお悩みがある際には、カウンセリングとあわせて各種検査による客観的なデータをもとに適した治療法をご提案せていただいていますので、一度ご相談ください。※なお現在、当院ではセットバック整形(口腔外科治療)は行っておりません。

監修医師
みずほクリニック

札幌医科大学・大学院卒業。米国フロリダ・モフィット国立癌センター勤務(ポストドクトラル・フェロー)後、札幌医科大学・形成外科 助教、北海道砂川市立病院・形成外科 医長、大塚美容形成外科(大塚院・金沢院・名古屋院など)を経て、2014年みずほクリニック開院。 免許・資格:日本形成外科学会・認定専門医、日本美容外科学会・正会員、医学博士