ペリカン手術とは顎下筋肉縛りなどともいわれる施術で、顎下の脂肪(皮下脂肪+深部脂肪)や唾液腺の膨らみ、さらに筋肉(広頚筋など)のゆるみに一気にアプローチができる小顔治療で、術後は二重顎やたるみをすっきりと改善することが可能です。まだ実施しているクリニックもそこまで多くはないこともあり、ペリカン手術のデメリットやダウンタイムについてご質問いただく機会も多いため、今回はペリカン手術の気になる点についてまとめてみたいと思います。

ペリカン手術とは
ペリカン手術(顎下の筋肉縛り)とは、顎下のたるみ・二重顎を改善する小顔治療で、たるみの原因である脂肪や筋肉、唾液腺といった様々な組織に一度にアプローチできる点が特徴です。顎下のたるみ取りとしては皮下脂肪を除去する脂肪吸引が以前から人気ですが、ペリカン手術は顎下のさらに深いところにある組織(深部脂肪・唾液腺・広頚筋・顎二腹筋)にも操作を加えることができるため、術後は小顔効果をしっかりと得られることが多いです。
ペリカン手術でアプローチ可能な部位

【ペリカン手術でアプローチ可能な顎下の組織】
- 皮下脂肪(皮膚のすぐ下・広頚筋の外側にある脂肪)
- 深部脂肪(広頚筋よりも深い場所にある脂肪)
- 筋肉(広頚筋/首の前方に薄く広がる筋肉)
- 筋肉(顎二腹筋/嚥下の際に動く筋肉)
- 顎下腺(顎下にある唾液腺)
ペリカン手術の効果
ペリカン手術は、脂肪吸引では取り切れない顎下の深い層の脂肪も除去できる他、筋肉・唾液腺などの組織の肥大や緩みも同時に改善できるため、効果にはもちろん個人差はありますが、シャープですっきりしたフェイスラインになることが多いです。術後は顎下のたるみ・二重顎がしっかりと改善されるため顔と首の境界線に美しいくびれができることが多いです。
【ペリカン手術の小顔効果】
- 顎下のたるみ・もたつき改善
- 全体的に膨らんだ腫れぼったいような顎下の改善
- もったりとした二重顎をすっきりする
- 顎下に伸びたとさかを解消する
- 顔と首の間にくびれができる
- 顎下脂肪吸引で得られなかった高い小顔効果
顎下脂肪吸引との適応の違い
ペリカン手術と同じ目的(顎下のたるみ取り・二重顎改善)の治療には「顎下の脂肪吸引」があり、いずれも目的は「顎下をシャープにする」施術となりますが、施術対象となる部位や施術範囲が異なるため適応となる症状にも違いがあります。以下はあくまでイメージとなり、実際は症状などを診察の際に触診も含めて確認した上で診断する形となりますが、多少の参考になればと思います。
顎下の脂肪吸引 | ペリカン手術 | |
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適応となる症状 | ①輪郭全体のたるみ ②たるみの主な原因が皮下脂肪 |
①顎下のたるみ ②たるみの原因が複数の組織に起因 |
アプローチ部位 | 皮下脂肪 | 顎下の皮下組織全体 ・皮下脂肪 ・深部脂肪 ・広頚筋 ・顎二腹筋 ・唾液腺(顎下線) ※症状に応じて必要な部位にアプローチ |
施術範囲 | フェイスライン全体 ・顎下 ・首まわり ・エラ下など ※症状に応じて必要な部位にアプローチ |
顎下 |
同じような施術ですが、実際には似て非なるものであるというのがお分かりいただけるかと思います。患者様の脂肪の付き具合や筋肉の状態にあわせて施術法を選択する形となりますが、症状によっては両方の施術を同時に行うこともあります。首まわりやエラ下にも脂肪が多く、さらに顎下のたるみの原因が複数の組織に起因する方については、併用施術を推奨しています。
ペリカン手術のメリット
・顎下の様々な組織にアプローチができる
ペリカン手術は、顎下の様々な組織(皮下+深部脂肪、唾液腺、筋肉)に一気にアプローチすることができる点が最大のメリットです。たるみの原因が複合的な方についてはペリカン手術が大変有効です。
・カスタマイズ治療が可能
ペリカン手術は、個々人の組織の状態に合わせてカスタマイズした形で施術を行える点も特徴です。皮下脂肪、深部脂肪、広頚筋、顎二腹筋、唾液腺といった各組織のうち、たるみ・緩みが生じている部分にだけアプローチすることができるペリカン手術は、効率がよい上に小顔効果も大変実感しやすい施術だと考えています。
・よりしっかりと小顔効果を得られる
たるみの原因となる複数の部位に対して手技を加えることができるため、術後は顎下がしっかりシャープになることが多いです。
ペリカン手術のデメリット
・ダウンタイムが多少長い
切開や剥離・縫合を伴う施術のため、顎下の脂肪吸引よりもダウンタイムが多少長くなることが多いです。
・顎下のツッパリ感・引きつったような感覚
ペリカン手術では、緩みの生じた広頚筋や顎二腹筋に対して、コルセットを巻くかのように顎下中央部に引き寄せて縫い縮めることでたるみ・緩みを改善するため、術後にこれらの筋肉が縫い寄せられたことによる違和感やツッパリ感、引きつったような感覚が生じることがあります。これらも通常は次第に身体が慣れてきて気にならなくなりますが、1か月程度はそのような感覚が続くこともあります。
ペリカン手術のダウンタイム
◎腫れ・むくみ・赤み
切開部分付近に腫れやむくみ、痛み、赤みなどが生じることがあります。広頚筋は比較的腫れやすい部位のため、腫れは他の部位と比較すると大きく生じることもあります。このような目立つ腫れは1週間ほどで落ち着きますが、その後も多少腫れが1か月ほど続き、普段と同じような状態になるまでには2~3か月ほど掛かることが多いです。
◎内出血
内出血が生じた際は術後2~3週間ほどで次第に改善します。
◎ツッパリ感や違和感
上でも述べた通り、ペリカン手術では筋肉(広頚筋や顎二腹筋)を縫い縛るため、術後にツッパリ感や違和感が生じることがあります。次第にこのような感覚にも身体が自然と慣れてくるため、違和感などは1か月程度でなくなることが多いです。
◎傷跡
ペリカン手術は顎下を2~4㎝程度切開して行う施術のため、術後は顎下の皮膚に傷跡が生じます。普段目にすることが少ない顎下なので、傷跡が目立つということはほとんどありません。傷跡は次第に消えていきますがその後も赤みや盛り上がりがしばらく続き、3か月~6か月程度で改善します。
◎皮膚のデコボコ・へこみ
ペリカン手術では脂肪や筋肉など様々な皮下組織に一度にアプローチするため、術後に顎下の皮膚表面にデコボコやへこみが一部に生じる可能性があります。通常は次第に馴染んでくるため、1か月程度で次第に改善していきます。
◎ペリカン手術後の圧迫固定について
ペリカン手術後は圧迫固定を推奨しています。1日まるまる圧迫固定する必要があるのは手術当日のみとなり、それ以降はご自宅にいる時間や就寝時などを中心に、1週間程度圧迫固定を行っていただきます。圧迫固定は術後の浮腫み・腫れを抑制する効果がある他、顎下の組織をしっかりと密着・固定させることで小顔効果を高める目的もあります。ご自宅など圧迫することができる環境におられる際にはできるだけ圧迫固定をすることをお勧めします。
◎その他のリスク・副作用
稀に皮膚の感覚が低下したりピリピリ感が生じることがありますが1~2か月ほどで次第に改善します。また術後に左右差やケロイド、皮膚のデコボコが生じることがある他、ごく稀ですが感染症などが生じることがあります。
ペリカン手術の施術の流れ
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- 切開
- 顎下を2~4㎝ほど切開します。
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- 皮下脂肪の除去
- 皮膚を剥離し、皮下脂肪(広頚筋より浅い部分にある脂肪)の量を確認します。この部分は顎下の脂肪吸引の施術対象ともなる部位となり、目視の上で脂肪量が多いと判断した場合は切除を行います。
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- 広頚筋の剥離
- 皮下脂肪を確認(必要に応じて処置)した上で、続いて広頚筋の剥離を行います。この筋肉の内側に深部脂肪や唾液腺などがあります。
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- 深部脂肪の除去
- 広頚筋の内部にある深部脂肪の量を確認します。深部脂肪は脂肪吸引ではアプローチできない部分となりますが、顎下のたるみには深部脂肪の量が関係していることが多いです。
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- 唾液腺の調整
- 続いて唾液腺(顎下腺)のボリュームを確認します。唾液腺肥大がみられる場合は唾液腺の減量を行います。(唾液腺漏れを防ぐためボトックスを注射することもあります)
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- 顎二腹筋の調整
- 広頚筋の内側にある顎二腹筋(がくにふくきん)は舌の動き(嚥下・発声など)に関係する筋肉ですが、この筋肉が肥大していたり下垂している際にはボリュームや位置を調整します。
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- 顎二腹筋の縫合
- 顎二腹筋に緩みが生じている場合は左右の顎二腹筋を中央部に寄せて縫い縮めます。
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- 広頚筋の縫合
- 最後に広頚筋に緩みが生じている場合は左右の広頚筋を中央部に寄せて縫い縮めます。この操作についても、個々の筋肉・組織全体の状態にあわせて実施可否を判断します。
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- 縫合
- 最後に皮膚を縫合します。
ペリカン手術は顎下のたるみの原因を一気に除去することができる人気の小顔治療です。顎下の膨らみ・二重顎でお悩みの方はもちろん、顎の脂肪吸引で効果を実感できなかった方においても効果的なことが多いため、気になる際には一度ご相談下さい。
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