〇下顎下縁形成術とは

下顎下縁（かがくかえん）とは一般的に「フェイスライン」と呼ばれる部分のことで、エラの骨（下顎角）から顎先にかけた輪郭を形成する骨のことを指します。下顎下縁形成術では、この部分の骨を切除もしくは削り取ることで、張り出して角ばって見えるフェイスラインをすっきりとさせてシャープな輪郭へと整えます。
なお、下顎下縁形成術は基本的におとがい形成やエラ整形と同時に行うことがほとんどです。これらの施術を併用することで、段差やデコボコのない滑らかなフェイスラインに仕上げることが可能です。

〇仕上がりの出来・不出来を左右する非常に重要な施術です

下顎下縁形成術は、エラ整形やおとがい形成と比較すると知名度がかなり低く、施術の目的や効果についても詳しく知らないという方がほとんどではないかと思います。しかし実際には、小顔整形の仕上がりの出来・不出来を左右することもある非常に重要な施術であると当院では考えています。

患者様は、「四角いエラ」「引っ込んだ顎」を治したいというご希望でご来院されることも多いですが、ピンポイントでその部分だけ改善をした場合、術後の変化が思っていたほど大きくなかったということがしばしば起こります。これは「木を見て森を見ず」ではないですが、顔の印象は連続性のある全体のラインによってイメージが成り立っているため、一部分だけに変化を加えても、顔全体を俯瞰してみた際には変化がわずかに見えてしまうことによって生じます。

このような際に、フェイスライン全体にアプローチすることができる下顎下縁形成術を併用することで、「エラ～フェイスライン（下顎下縁）～顎先」までを連続性のある滑らかなラインへと変化させることができます。そのため当院で行うエラ整形・おとがい形成においては、もちろん骨格などによって個人差はありますが、基本的にはエラ・顎先の手術とあわせて下顎下縁形成術の併用をお勧めさせていただいています。併用することで、患者様からは変化をしっかりと実感できたという高い評価をいただいている点が特徴です。

下顎下縁形成術は正面から見た際のフェイスラインをシャープにします

例えるなら、砂で高い山を作ろうとした際には、しっかりと高さを出すには周辺にも砂を盛って滑らかなカーブを描くようにすると思いますが、下顎下形成術は、この「砂でできた滑らかなカーブ部分」といったイメージでしょうか。（砂山はボリュームを出す作業のため、小顔整形とは逆の目的にはなりますが…）
顎先やエラの突出などを改善する際に下顎下縁へ同時にアプローチをすることで、より滑らかでシャープな輪郭を形成することができるため、下顎下縁形成術は基本的にエラ骨切り、もしくはおとがい形成と同時に行う形となります。

〇下顎下縁形成術を併用する目的

◎四角くて角ばった輪郭をシャープにする

「四角い顔を改善する輪郭整形」というとエラ骨切りを思い浮かべる方が多いと思いますが、正面から見た際に輪郭が大きく角ばっている際には、エラ骨だけへのアプローチでは大きな変化が得られないことが多いです。同時に下顎下縁（いわゆるフェイスライン）のボリュームを減らすことで、横から見た際にも正面から見た際にもすっきりとした輪郭のラインに変化させることが可能です。

◎Vライン整形（より滑らかな小顔・Vラインを形成する）

小顔整形やVライン形成としてエラ整形・おとがい形成を行う際にも、下顎下縁形成術の併用は大変有効です。エラ・あご先をつなぐフェイスラインのボリュームも全体的に減らすことによって、顔全体が連続性のある滑らかですっきりとしたシャープな顔立ちに変化します。

◎他院修正

他院修正（他のクリニックで輪郭整形を受けられた方の修正手術）の際に下顎下縁形成術を併用することも多いです。併用するケースは大きく3つに分けられます。

①術前と比べてほとんど変化がない

他院にて輪郭整形を行ったものの術前と比べてほどんと変化がなかったという際に、修正術では下顎下縁形成術を行うことがあります。変化がわずかになってしまう理由には個人差はありますが、エラ・顎先（おとがい）のみの骨切りを行ったことが原因であることが多いです。修正術では、事前にCT画像などで一度目の施術による変化を確認した上で、下顎下縁形成術も追加して施術を行います。

②以前よりも輪郭が四角くなった（大きく見える）

顔を小さくするために輪郭整形術を受けたのに、術後にフェイスラインが四角くなった・顔の横幅が大きくなった・輪郭が角ばってしまった、というご相談もしばしばあります。
これは顎先（おとがい）のみを細くしたことで、フェイスライン（下顎下縁）の張り出し（ボリューム）が目立つようになってしまったことで起こる症状です。修正術では、下顎下縁のボリュームも減らすことで、顎先（おとがい）からエラまでを連続性のあるすっきりとしたラインに整えます。

③輪郭に段差やデコボコが生じた

顎先（おとがい）やエラ（下顎骨）だけを細くすると、これらの骨がフェイスライン（下顎下縁）と連結する部分において骨の段差が目立ってしまうことがあります。この段差が皮膚の上からでも分かる程度になると、輪郭に段差やデコボコが生じます。

〇下顎下縁形成術の手術適応（本施術が適している方）

下顎下縁形成術は、フェイスラインが正面から見た際に横に張り出して見える・顔が四角く見える・横から顔を見た際にフェイスライン（エラから顎先をつなぐライン）が水平に近い状態に見える、といった際に適応となる施術です。これらの症状は、エラ（下顎角）や顎先（おとがい）だけではなく「エラと顎先をつなぐフェイスライン（＝下顎下縁）」の下方成長が著しいことによって生じるもののため、おとがい形成やエラ整形を行う際に下顎下縁形成術にもアプローチをすることで、下顎下縁のボリュームも同時に減らして連続性のある輪郭を形成します。
また昨今人気のVライン形成や小顔整形を行う際にも、エラ・顎先とあわせて下顎下縁のボリュームを同時に減らすことでよりシャープで、連続性のある滑らかな輪郭を形成することができます。その他、他院にておとがい形成やエラ整形を受けた方の修正手術として行うこともあります。一度目の手術によっておとがい・エラのボリュームは減ったものの、フェイスライン（下顎下縁）にアプローチを行わなかったことによってフェイスラインに段差が生じたり角が生じてしまったという際に、本施術が適応となります。

〇画像診断ソフト「ベクトラ」による3Dシミュレーションについて

当院のカウンセリングでは、専用の画像診断ソフト「ベクトラ」を使用し、術前後の変化を3D画像にて事前に確認できるシミュレーションを行っています。シミュレーションはご自身のお写真をもとに行うため、仕上がりの状態を手術前にかなり正確に確認することができるため、大変好評です。

〇下顎下縁部の骨切り・削合

下顎下縁の底辺部分（フェイスラインを形成する部分）の骨を切除したり削り取ることで輪郭のボリュームを減らします。下顎下縁が下方に発達している際に適応となります。

〇下顎体部の削合・外板外し（切除）

下顎下縁の体部（下顎下縁の骨そのもの）に厚みがあることで輪郭が大きく見える際には、下顎下縁の骨そのもの（体部）を削り取ったり、外板という下顎下縁の外側についている骨皮質を外すことで厚みを減らし輪郭をシャープにします。

※本施術はおとがい形成・エラ骨切りと併用で行う施術となります。（以下はおとがい形成との併用の場合）